自己破産の手続きには管財事件(少額管財)と同時廃止の2つがあります。
- 自己破産で管財事件になる条件とは?
- 自己破産が管財事件となった場合どれくらいの期間がかかるの?
- 自己破産で管財事件になると予納金はいくらかかる?
- 自己破産の管財事件を回避するためのポイントとは?
- 車や家を持っていると必ず管財事件になるって本当?
など気になることがあると思います。
そこでこの記事では自己破産の管財事件について詳しく説明していきます。
1.自己破産の管財事件(少額管財)とは?
管財事件とは、自己破産の手続きをするために「破産管財人」がつくのが特徴的です。
自己破産をするときには借金が0になるという部分がフォーカスされます。
しかし自己破産をするときに借金と一緒に財産も手放さなければいけません。
破産者の財産の調査のために破産管財人がつきます。
同時廃止と比べると、手続きに時間がかかるので、管財事件の手続き期間は3~6か月以上となります。
場合によっては1年以上かかることもあります。
破産管財人の役割としては
- 破産者がどのような財産を持っているのかを調査する
- 免責不許可事由に当てはまっていないか調査する
- 破産者の財産を現金化し債権者に分配する
などがあります。
こういった仕事をやってもらうために破産管財人にお金を支払う必要があるので、同時廃止と比べると管財事件の場合は自己破産の費用が増えることになります。
管財事件になった場合の手続きの流れについては以下の記事で詳しく解説しています。
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2.自己破産の管財事件(少額管財)になる4つのケースを紹介!
自己破産で管財事件になるか同時廃止になるかの細かい条件は裁判所によって変わります。
東京地方裁判所では認められることも、大阪地方裁判所では認められないということもあります。
厳密な条件は弁護士に聞いてください。
あくまでここで紹介するのは一つの目安となっています。
・20万円以上の価値のある財産がある場合
自己破産で管財事件になる最も特徴的な条件が「20万円以上の価値のある財産」を所有している場合です。
そういった財産を所有している場合には、裁判所に没収され現金化して債権者に分配する必要があるので、破産管財人が選出されてしまいます。
- 現金
- 車
- 持ち家
- マンション
- 銀行口座の預金
- 保険の解約返戻金
- 有価証券
などで20万円以上の価値のある場合には管財事件になる可能性が高まります。
20万円以下の財産であれば、そのまま所有することができます。
例えば、車を持っていても、何年も乗り続けてボロボロの車ということであれば、20万円の価値はないので、そのまま持ち続けることができます。
「住宅ローンが残っている場合でも同時廃止になることも」
また住宅ローンを抱えた状態で自己破産をする場合、家やマンションの価値は20万円を超えるので管財事件になると思うかもしれません。
しかしオーバーローンと言って、住宅ローンの残債が不動産価値の1.5倍以上あるときは管財事件ではなく同時廃止で手続きを行うことも可能です。
例えば、住宅ローンが1500万円残っている場合には、家やマンションの価値が1000万円以下だった場合には同時廃止で自己破産をすることが可能というわけです。
住宅ローンのほうが上回る場合には、家やマンションを持っていながらも実質的には価値がないようなものなので、同時廃止にできる可能性もあるのです。
・免責不許可事由に当てはまる場合
例えば、ギャンブルによる借金や浪費による借金の場合には免責不許可事由に当てはまります。
こういった場合には財産が20万円以上なくても、破産管財人による調査が行われます。
どの程度ギャンブルにお金を使ったのか?浪費で何を買ったのか?などを調査することで、裁量免責を認めるかどうかの判断をします。
仮に免責不許可事由があったとしても、裁判官との面談でしっかり反省している様子を見せれば裁量免責を認めてもらえる可能性があります。
裁量免責を判断する材料を用意するために破産管財人が選出されるというわけです。
ただ借金の金額や免責不許可事由の内容が軽度の場合は同時廃止で自己破産ができる場合もあります。
自己破産に詳しい弁護士に頼むことで、同時廃止にできる確率は高くなります。
・その他調査が必要そうな場合
「20万円以上の財産」「免責不許可事由に当てはまる」この2つがメインなのですが、それ以外にも調査が必要だと裁判所が判断した場合には管財事件として扱われます。
特に多いのは個人で自己破産の手続きをする場合、書類に不明瞭な個所がある場合です。
特に財産関係で不明瞭な点があると財産隠しを疑われるので、破産管財人に調査させるということになります。
弁護士を通して自己破産を行えば、そういった不備をなくすことができ、スムーズに手続きをできるようになります。
・個人の自己破産は少額管財になるケースがほとんど
ちなみに個人の自己破産の場合、管財事件になったとしても少額管財で手続きを進めることがほとんどです。
通常の管財事件よりも手続きが簡略化されて、裁判所に支払う予納金の金額も安くなります。
ただ少額管財で自己破産の手続きを進めるためには、弁護士を通して自己破産の手続きを行う必要があります。
あくまで手続きが簡略ができるのは、弁護士が担当しているからです。
弁護士が担当していれば、きちんとやってあることが多いので、その分管財事件の手続きが簡略ができると判断できるためです。
弁護士を通さずに個人が手続きをする場合には、いろいろと漏れがある可能性が高いので、きっちりと調査するために管財事件として扱われることがほとんどです。
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3.自己破産で管財事件(少額管財)を回避するポイント!
自己破産をするときには管財事件よりも同時廃止の手続きのほうが裁判費用が安く免責が認められる期間も早くなります。
できれば管財事件ではなく同時廃止で自己破産をしたいという人がほとんどだと思います。
・自由財産の拡張を利用する
自己破産では基本的に20万円以上の財産がある場合には、没収され処分されてしまいます。
しかし、自己破産では没収されない自由財産が存在します。
これは最大で99万円までの財産であれば、そのまま持っておくことができます。
これを利用することで管財事件を回避できる場合があります。
例えば、預金が50万円ある場合、他の財産と合わせて99万円以下であれば自由財産に組み込むことができます。
このように一定額以上の財産があっても、管財事件を回避して同時廃止手続きにできます。
・自己破産に強い弁護士に依頼すること
同時廃止で自己破産するためには自己破産に強い弁護士に相談をする必要があります。
自己破産に強い弁護士であれば、いろいろなテクニックを知っているので管財事件ではなく同時廃止で手続きを進められる可能性が高くなります。
自己破産をするときには個人で手続きをするよりも弁護士に依頼したほうがメリットが多いです。
結果として自分で手続きをするよりも安くなることもあるので、自己破産をするときには弁護士に頼むようにしましょう。
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・財産隠しや借金の原因で嘘をついてはいけない
管財事件になる条件を上での方で紹介しましたが、それに該当するからと言って、財産を隠したり嘘をついたりしてはいけません。
破産法第252条の免責不許可事由では「財産の隠匿」「虚偽の申告」などがあります。
つまり財産隠しや嘘をつくと、免責が認められず借金が帳消しにならないわけです。
バレなければいいと思うかもしれませんが、裁判所はしっかりと調査を行っているので、基本的にバレると思ったほうがいいです。
管財事件になったとしても、借金は0にできるわけですから、下手な小細工を行うのはやめましょう。
4.自己破産の管財事件(少額管財)の場合どれくらい費用(予納金)がかかる?
自己破産の管財事件の費用(予納金)は個人の場合と法人の場合で金額が異なります。
借金総額 | 予納金(個人) | 予納金(法人) |
5000万円未満 | 50万円 | 70万円 |
5000万円以上1億円未満 | 80万円 | 100万円 |
1億以上5億円未満 | 150万円 | 200万円 |
5億以上10億未満 | 250万円 | 300万円 |
10億以上50億未満 | 400万円 | 400万円 |
50億以上100億未満 | 500万円 | 500万円 |
100億以上 | 700万円 | 700万円 |
※借金総額の増額に応じて、予納金は最大1000万円以上になることも
金額が増えれば増えるほど破産管財人の仕事が増えることになるので、その分予納金の金額が高くなるという感じです。
また少額管財の場合は20万円となっています。
借金額に応じて金額が変化するということはありません。
ただ裁判所ごとに管財事件(少額管財)の予納金の金額は若干異なります。
あくまでここで紹介したのは一つの目安だと思ってください。