- 自己破産をするとすべての財産は処分されるのか?
- 自己破産をしても処分されない資産は具体的に何があるのか?
- 自己破産をして手元に残すことができる資産とは?
- 妻や親などの家族の資産は自己破産をすると没収されるのか?
など気になることがあると思います。
そこでこの記事では自己破産で処分される資産と処分されない資産について詳しく説明していきます。
1.自己破産ではすべての財産を処分しなければいけないのか?
自己破産はすべての借金をチャラにできると同時に自分の財産もすべて手放さなければならないと思っている人も多いです。
財産が一切残らないというイメージから自己破産の手続きに踏み切れないという人もいると思います。
確かに自己破産をすると、財産は没収されてしまいます。
しかしすべての財産が没収されるわけではありません。
自己破産をして没収されるのは、高額な財産だけです。
価値のあまりない財産については没収されず、そのまま所有し続けることができます。
また生活に必要なものについても手元に残すことができます。
一つの目安としては、時価で20万円以上の財産が没収されます。
例えば、時価で20万円以上の価値のある車は没収されます。
ただあくまで”時価”であって購入金額ではありません。
購入したときが200万円の車でも、使っていればどんどん価値は下がり、20万円以下の価値にしかならないこともあります。
10年以上乗っている車なんかは20万円も価値がないと思います。
そんな時価20万円以下の財産については自己破産をしても財産として没収されることはありません。
どうしても財産を残したい場合には、自己破産ではなく他の債務整理で借金を整理するという方法もあります。
自分では自己破産するしかないと思っていても、他の方法で借金を整理できるかもしれません。
本当に自己破産する必要があるのか気になるなら、とりあえず借金減額シミュレーションを使っていくら借金が減るのかだけでも調べることをお勧めします。
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2.自己破産をすると処分される財産の具体例
- 家やマンションなどの不動産
- 99万円を超える現金
- 評価額が20万円以上の自動車
- 残高が20万円を超える預貯金
- 20万円を超える保険の解約返戻金
- 一定以上の退職金
・家やマンションなどの不動産
基本的に不動産は価値が高いので、自己破産をするときには、資産として没収されてしまいます。
ちなみにローン残高が固定資産評価証明書による評価額の2倍以上の場合は、その不動産は資産とみなされません。
ただ厳密に言うと、どのラインで資産とみなすかみなさないかは裁判所によって異なります。
中には1.5倍程度でも資産とみなさない裁判所もあります。
オーバーローン状態で不動産を所有している場合の自己破産の手続きについてはこちらの記事で詳しくまとめています。
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・99万円を超える現金
99万円までの現金であればそれは自由資産とみなされ、手元に残しておくことができます。
自由資産とは、破産者が自由に管理処分することができる財産のことを指します。
99万円を超える現金は資産とみなされて、裁判所に没収され債権者の手に渡ることになります。
・評価額が20万円以上の自動車
外車や高級車であれば、長期間使用していても、高い値段が付くことが多いので資産とみなされます。
しかし、普通乗用車や軽自動車であれば、長期間使用していると価値が非常に低くなっていることがあります。
その場合には資産とみなされずに処分されることはありません。
その時の基準として20万円が設定されています。
車の価格は買い取り業者に査定をしてもらうことで分かります。
・残高が20万円を超える預貯金
直前に預貯金額を20万円以下にしようとしてもそれは自由資産とみなされない場合が多いです。
また、一つの口座だけでなくすべての口座の預金を合計した金額なので注意してください。
・20万円を超える保険の解約返戻金
保険は解約をすることで、戻ってくるお金がある場合もあります。
その時は、それも財産として扱われます。
20万円を超える解約返戻金がもらえる保険は、自己破産の手続きをするときに解約しなければなりません。
複数の保険を利用している場合は、預貯金と同様に合計した金額になります。
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・一定以上の退職金
退職金は現時点で退職したと仮定して支給されるであろう退職金見込み額の8分の1が20万円を超える場合は資産とみなされます。
退職金がいくらなのかは、しっかりと証明しなければいけないので、会社から退職金計算書をもらう必要があります。
その時に理由を聞かれた場合、破産をすることを打ち明ける必要があります。
それが嫌だからと言って、退職金計算書をもらわないと破産の手続きが進みません。
ちなみに自己破産をするからと言って、会社を首になるわけではないので、安心してください。
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3.自己破産しても没収されない自由財産とは?
自己破産をするときにはすべての財産が没収されて処分されるわけではありません。
上で説明した20万円未満の価値しかない財産のほかにも自由財産は没収されないことになっています。
自由財産に当てはまる財産については、自己破産をしても手元に残すことができるんです。
破産後も生活をしなければいけないので、最低限度の生活を送るために必要な財産については基本的には残すことができます。
破産法第34条によるとこのように書かれています。
第3項 第1項の規定にかかわらず,次に掲げる財産は,破産財団に属しない。
一 民事執行法 (昭和54年法律第4号)第131条第3号に規定する額に2分の3を乗じた額の金銭
二 差し押さえることができない財産(民事執行法第131条第3号に規定する金銭を除く。)。ただし,同法第132条第1項 (同法第192条において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。第4項 裁判所は,破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間,破産者の申立てにより又は職権で,決定で,破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して,破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。
4.自己破産をしても処分されない5つの自由財産
どのような財産が差し押さえられない自由財産に当てはまるのかと言いますと以下の5つとなっています。
- 新得財産
- 差押禁止財産
- 99万円以下の現金
- 自由財産の拡張
- 破産財団から放棄された財産
・新得財産
新得財産とは、自己破産の手続き開始決定後に新たに獲得した財産のことを指します。
逆に言えば、自己破産の手続き開始決定前に獲得した財産については没収されることになります。
自己破産をしてすぐに大きな財産が手に入ることはないと思いますが、ボーナスがもらえる場合には申し立ての時期に注意をしましょう。
・差押禁止財産
最低限度の生活は憲法により保証されているため破産者がその後の生活を送るための必要最低限の財産については差し押さえ禁止となっています。
差押禁止財産については、自己破産前に所有していたとしても没収されることはありません。
差押禁止財産には生活必需品などが当てはまります。
- 整理タンス
- ベッド
- 調理器具
- 食器棚
- 食卓セット
- 冷暖房器具(エアコン除く)
- 漫画
- ゲーム
- 衣類
◆1点のみ差し押さえ禁止
- 洗濯機(乾燥機付きを含む)
- 冷蔵庫(容量は問わない)
- 電子レンジ(オーブン付き含む)
- 瞬間湯沸し器
- テレビ(29インチ以下)
- ラジオ
- 掃除機
- エアコン
- ビテオ(DVD)デッキ
- パソコン
- 鏡台
・99万円以下の現金
民事執行では差し押さえ禁止の現金は66万円以下となっていますが、破産法では「民事執行法第131条第3号に規定する額に2分の3を乗じた額の金銭」となっています。
66万円の1.5倍までの金銭なので、99万円以下の現金となります。
自己破産の手続きをする債務者は、収支のバランスが破綻しているため生活費が足りないことが多いです。
そのため民事法よりも金額をアップして99万円以下の現金が自由財産として認められます。
・自由財産の拡張
基本的には上記の3つが自由財産に当てはまるものなのですが、これ以外の財産は没収されないようできます。
本来自由財産に当てはまらない財産であっても、裁判所が認めれば自由財産として扱うことができます。
本来の自由財産だけでは最低限度の生活を送ることができない場合に、認められることが多いです。
トータルとして99万円以下の価値までであれば、自由財産の拡張で財産を残すことができます。
本来であれば、あくまで自由財産となるのは「現金」です。
銀行口座の預金は当てはまらないのですが、自由財産の拡張を使うことで残すことができます。
・破産財団から放棄された財産
没収した財産の中で、換価処分できないと破産管財人に判断された財産については放棄されることになります。
破産財団が放棄したものについては、自由財産となり破産者のもとに戻ってきます。
一般的には価値のない財産については放棄されます。
実際のところは裁判所や破産管財人が判断するので、どんなものが残るかは分かりません。
あまり期待をせずにいたほうがいいでしょう。
5.妻の資産や親の資産は自己破産をするときに処分されるのか?
結論から言いますと、配偶者や親の資産は自己破産をしても処分されることはありません。
あくまで処分されるのは破産者が所有している資産となります。
配偶者や親が名義となっている資産については、自己破産をしても処分されることなく、残しておくことができます。
だからと言って、自己破産の手続きをする前に資産を移動させると、詐欺破産罪となり免責が認められないことがあります。
例えば、夫名義の持ち家を妻名義に変更すれば、自己破産をしても家を残すことができると思うかもしれません。
しかし、これをやると詐欺破産罪に該当して、免責が認められないだけでなく、逮捕される可能性もあります。
なので、自己破産前に下手に資産の移動はさせないようにしましょう。
もし資産を移動させるのであれば、弁護士と相談の上で行ってください。
まとめ
自己破産をしても生活に必要な財産は残すことができます。
大きな価値のある財産については没収されてしまいますが、自己破産をして生活ができなくなるなんてことはありません。
むしろ自己破産時に嘘を付いて、意図的に資産を隠すと免責を認められません。
資産を少しでも残しておきたいという気持ちはよく分かりますが、嘘はつかずにすべて見せるようにしてください。
自己破産をする前にどんなものが残せるかは、依頼する弁護士に聞けば分かります。
また自分では自己破産をするしかないと思っていても、自己破産以外の方法で借金が整理できる場合もあります。
もし借金の返済に困っているのであれば、一度弁護士に相談することをお勧めします。
とはいえ、いきなり弁護士に相談するのはハードルが高いと思います。
そこで匿名無料で使える借金減額シミュレーターを使うことをお勧めします。
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利用したからと言って必ず依頼しなければいけないわけではないので、試しに使ってみることをお勧めします。