~借金をした当時の状況~
- 【名前】本木啓
- 【性別】 男性
- 【年齢】 22歳
- 【職業】販売員
- 【住んでいる場所】広島県三次市
- 【借金額】100万円
- 【どこからお金を借りたか】消費者金融 武富士
- 【借金の理由】車の修理代金
■軽い気持ちで借りたのが間違いの始まり
私が消費者金融を利用したのは、車の修理費を支払うためでした。
当時働き始めて2年程度でようやく成人を迎えた頃で、クレジットカードなども作れるようになりなんだか何でも出来るようになったと錯覚していた時期でした。
まだ給与も少ない頃でしたので、大きな買い物なども出来ませんでしたし、車も5年ローンで購入していました。
私が暮らしていた街はいわゆる田舎だったため、車が無いと移動なども難しく仕事にも行くことが出来ない場所でした。
そのため車は必須の生活必需品だったわけですが、自分の不注意で事故を起こしその修理に20万円の費用がかかりました。
ローンを組んで修理費を返済する手段もあったのですが、すでに車のローンを組んでいたのが気になり、もしローンを通らなかったらどうしようといった不安もあったため、たまたま自分の勤務する会社の近くにあった消費者金融の利用を考えました。
当時テレビでも頻繁にその消費者金融のCMが流れていたため、安心して利用できるものだと勝手に錯覚してしまい、軽い気持ちでお金を借りに行ったわけです。
もちろん消費者金融側は笑顔で対応してくれましたし、すでに20歳を超えていたためスムーズにカード発行も可能となりました。
当時の限度額は50万円までで、そのうちの20万円を借りてそれを車の修理費の支払いに充てました。
その時点では借金が20万円以上になることも無く、借りた20万円を毎月決められた金額の5000円程度返済していました。
もちろん延滞などもなかったため確実に返済は進みましたし、それ以外に消費者金融を利用すると言うことも無かったため、そのまま問題なく返済は終わるはずでした。
■借金が増えることになった結婚と増額
そのまま問題なく返済完了となるはずでしたが、ここである転機が訪れます。
それが自分自身の結婚という出来事でした。
結婚式などは挙げませんでしたが、やはり新婚生活を始めるに当たり何かと購入するものも多く、お互いに若かったため貯金などもそれほどなかったので、ふと考えたのが消費者金融の利用でした。
すでに借りた20万円は残り数万円のところまで減っていましたし、それなら多少借りても問題ないと考えた私はまた消費者金融へ向かいました。
その時のタイミングも失敗だったと今は思いますが、消費者金融の店員から今なら100万円までの増額が可能ですよと勧誘されたのです。
もちろん無理に増額する必要もありませんでしたが、使わなければ問題ないかと考えた私はすぐに増額申請を行い限度額を100万円まで増額しました。
その時に消費者金融から言われたのが、一旦増額した金額を全て出金してお渡ししますので、使わないのであれば数日経ったら返済してくださいといった提案でした。
今ならまず考えられない話ですが、当時はまだグレーゾーン金利も存在していましたし、貸した金額により消費者金融の店員の給与などにプラスアルファがあったのでしょう。
使わなくていいから口座に入れておいてくださいとしきりに勧めてくるため、その押しに負けて私は増額した金額の100万円までの全額を全て渡してもらい、口座に入れておいたのでした。
これが今考えれば間違いの始まりで、人間と言うものは一旦自分の口座にお金を入れてしまうと、そのお金が自分の物だと錯覚してしまうようです。
そのため数日後には全額渡されたお金を私は返済することなく口座に保管したままにしてしまい、その中から結婚で必要となった家電製品などを購入したわけです。
その時に口座に入れた金額は約95万円で、本来なら車の修理代金の20万円の返済残高が5万円程度だったものが、全て借りてしまったため借金は100万円になっていました。
ただその時点でもまだ考えが甘く、毎月の返済が35000円程度だったためなんとかなるかと楽観的に考えていました。
■返してもへらない元本と増える利息
ある程度の期間返済を続けていくうちに気づいたのが、返済してもなかなか元本である100万円が減っていかないことでした。
実は返済していた35000円のうち半分以上が利息の支払いで消えており、実際に元本に充てられるのは2万円にも満たない額でした。
そのためなかなか元本は減らず、毎月の35000円がだんだん重くのしかかり始めていました。
途中からは妻が妊娠して自分一人の給与で返済を行う必要が出てきてしまい、明らかに収入と支出のバランスが狂っていきました。
そのため35000円返済して2万円の利用枠が空くためまたすぐ2万円を借りると言った返済と借り入れのスパイラルに入り込んでいったわけです。
しかしこのままでは何時まで経っても完済できないままだと考えた私は、まず自分たちの生活の収支の見直しを考えました。
基本的に2馬力だったものが1馬力になっていたいたわけですから、今まで通りのお金の使い方では借金が無くても収支のバランスが崩れていくのは目に見えていました。
そのためまず必要ないお金を使わないように固定で支出が必要なものをピックアップすることから始めました。
もちろん消費者金融の借金も固定で返済するものに含め、残ったお金をいかに上手に使っていくかを考えるようにしました。
今までは足りなくなると消費者金融で借りていたため結果的に元本を減らすことが出来なかったわけですが、収支の見直しをすることで返済のみを行い追加の借り入れを一切行わないようにしました。
そうしたことが功を奏して、借りていた100万円は着実に減っていき、約8年かけて半分まで減らすことが出来ました。
しかし8年かけても50万円しか返済できていなかったわけですから、いかに利息が高かったのかが分かると言えます。
そうしているうちに貸金業法の改正が行われ、グレーゾーン金利の廃止と金利による利息の再計算が行われ、まだ50万円あった借金は実際にはすでに返済し終えていることになり、逆に250万円もの過払い金が発生していることになりました。
消費者金融からは何の連絡もないままいきなり借金がゼロになり、それに気づいたのは返済のためにATMに行った際に返済残高0円と表示され、それを消費者金融の店員に聞いて初めて完済になったことが知らされました。
結果的に意図しない結末で借金はゼロになり、その後すぐにその消費者金融は倒産したため、過払い金の250万円は取り戻せないままになりました。
今思えば軽い気持ちで借りた20万円がまさかこれほどの金額になるとは予想もしていなかったと言えます。