自己破産をするとき管財事件となり破産管財人がついたとき
- 自己破産をするとき、破産管財人の調査内容は何なのか?
- 自己破産の時に、破産管財人はどこまで調べるのか?
- 自己破産時は郵便物や自宅も調査されるのか?
- 破産管財人の調査期間はどれくらいなのか?
など気になることがあると思います。
そこでこの記事では自己破産時の破産管財人の調査について詳しく説明していきます。
1.自己破産で破産管財人の調査内容とは?
破産管財人の仕事としては、破産者の財産を現金化して債権者に平等に分配することです。
破産法2条12号にもこのように書かれています。
「この法律において「破産管財人」とは、破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう。」
また破産者の財産を管理するときに免責不許可事由に当てはまることをしていないかもチェックします。
免責不許可事由の多くは財産にかかわるところが多いので、破産管財人に一緒に調べさせるという感じです。
破産管財人の主な調査内容としては以下の3つとなっています。
- 財産の調査
- 債権の調査
- 免責不許可事由に当てはまるかどうかの調査
・財産の調査
破産管財人は申立書に書かれた財産状況が正しいかどうかを調査します。
破産管財人は財産を回収して現金化して債権者に支払うために、
- どのような財産があるのか?
- どのように財産は管理されているのか?
- 財産の価値は本当に正しいのか?
などをチェックします。
一定以上の価値のある財産は没収して、換価した後、債権者に分配することになります。
特にチェックをするのは財産隠しを行っていないかどうかです。
例えば、自己破産の申し立てをする前に、子供に家をあげた、知人に車をあげたなど意図的に財産を減らしていないかなどをチェックします。
もし仮に不当に財産を減らしていることが分かった場合には、その財産の移動をなかったことにすることができる「否認権の行使」を行うことができます。
・債権の調査
破産管財人は申立書に書かれた債権状況が正しいかどうかを調査します。
破産管財人は財産を没収して現金化するだけでなく、債権者に平等に分配するところまでが仕事です。
- どれくらいの借金があるのか?
- どこに借金をしているのか?
- 隠している借金はないか?
などをチェックします。
場合によっては、債権者が多くのお金を分配してもらおうと自分の債権を割増して主張してくる可能性があります。
そうなると平等に分配することができないので、事前に債権の状況を調査するのです。
・免責不許可事由に当てはまるかどうかの調査
破産者が自己破産で免責を認めるにふさわしいかどうかを調べます。
例えば、
- どのような原因で借金を作ったのか?
- 破産管財人の調査に協力的だったかどうか?
- きちんと反省している様子はあるか?
など様々な観点から調べて裁判所に意見をします。
ただしあくまで免責の最終判断を行うのは、裁判所です。
もし仮に破産管財人が「この破産者は免責不許可事由に当てはまる行為をしている」と裁判所に伝えても、必ず免責不許可になるわけではありません。
破産管財人の調査後の裁判官との面談によっては裁量免責が認められる可能性も十分にあります。
2.自己破産時の破産管財人の調査期間はどれくらいなのか?
破産管財人が調査を行う期間は、3か月~6か月ほどが一般的です。
そもそも破産管財人は、自己破産開始決定から免責が認められるまでの間、調査を続けます。
例えば、郵便物は免責が認められるまで転送され続けるということです。
ただ財産状況によっては、調査期間は前後します。
また財産を現金に換えるのに時間がかかれば、それだけ破産管財人の調査期間は長引くことになります。
場合によっては、免責が認められるまで1年以上の時間がかかることもあります。
自己破産をするときのこのような調査が煩わしいと思うのであれば、自己破産以外の方法で借金を整理しましょう。
自分では自己破産をするしかないと思っていても、他の債務整理の方法で整理できる場合もあります。
本当に自己破産する必要があるのか気になるなら、とりあえず借金減額シミュレーションを使っていくら借金が減るのかだけでも調べることをお勧めします。
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3.自己破産時の破産管財人の調査方法
破産管財人が以上の調査を行うときには以下のような調査方法を行います。
- 自己破産の申立書の調査
- 申立人からの事情聴取
- 債権者からの事情聴取
- 資料の提出を依頼+その資料の調査
- 関係者に資料の提出を依頼+その資料の調査
- 郵便物の調査
ベースとなるのが、自己破産をするときの申立書の調査です。
申立書を調査しながら大まかな内容を調べつつ、申立人や債権者に事情聴取をします。
その調査の中でおかしい点や不明瞭な点があれば、資料の提出を要求してさらに詳しく調査を行っていくというのが基本的な流れです。
また自己破産の手続き中は郵便物はすべて破産管財人に転送され中身をチェックされることになっています。
その郵便物を見ることで、隠してる財産や債権が発覚することは珍しくありません。
例えば、
- 証券会社からのハガキが届けば、株式投資をやっているのではないか?
- 銀行からのハガキが届けば隠している銀行口座はあるのかどうか?
- 消費者金融からのハガキが届けば、隠している借金があるかどうか?
などが推測ができます。
申立書に書かれていない財産などはこの段階でバレる可能性があります。
・破産管財人は自宅に訪問して調査を行うのか?
例えば警察の家宅捜査みたいに家の中にあるものをすべて引っ張り出されて調査されるなんてことがあるか心配ですよね。
財産を隠していない場合でも、人に勝手に家を荒らされるのは気分が悪いものです。
結論を言いますと、破産管財人が自宅に訪問する可能性は低いです。
ただ場合によっては破産管財人が自宅に訪問して調査を行うケースもあります。
例えば、持ち家を所有している場合には、その不動産の価値を調べたり、売却できそうかなどをチェックするために家に来る可能性があります。
引き出しの中まで調べるかどうかは破産管財人の判断によります。
しかし警察の捜査のように隅々までチェックするということはありません。
自宅に訪問されるかどうかは借金状況や財産状況、地域によっても異なるので、詳しくは自己破産を依頼する弁護士に聞いてみてください。
・破産者は破産管財人の調査に協力しなければいけない
破産法 第250項第2項にこのように書かれています。
破産者は,前項に規定する事項について裁判所が行う調査又は同項の規定により破産管財人が行う調査に協力しなければならない。
破産管財人が行う調査には、破産者はその調査に協力しなければいけないという決まりになっています。
もしうっかり提出を忘れてしまった財産などがあるときには、そのことが分かった時点でしっかりと協力することが大事です。
もし説明義務を怠ると最悪の場合「詐欺破産罪」として逮捕されることになっています。
破産法第265条1項によるとこのように書かれています。
「手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(中略)について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第1号 債務者の財産(中略)を隠匿し、又は損壊する行為
第2号 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
第3号 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
第4号 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為」
詐欺破産罪に該当した場合「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」が科せられます
破産管財人によって財産の調査が行われますが、下手に隠すと免責が認められず最悪詐欺破産罪として捕まってしまうことになります。
なので、下手に財産を隠そうとするのではなくすべてを正直に伝えることが大事です。
また自己破産に強い弁護士に相談をすれば、いろいろなテクニックを持っているので隠すよりも正直に話したほうが自己破産の手続きがスムーズにいきますよ。