損害賠償が払えない時自己破産すれば免除される?されない条件は?

損害賠償 自己破産

  • 自己破産をすれば損害賠償債権はどうなる?
  • 交通事故の損害賠償を自己破産でチャラにできる?
  • 不法行為による損害賠償は自己破産で免責されないって本当?
  • 自己破産しても免除されない損害賠償の種類とは?

など気になることがあると思います。

そこでこの記事では自己破産と損害賠償について詳しく説明していきます。

1.自己破産で損害賠償は免責される?

多額の損害賠償が請求された場合、自力では支払っていくことができないということもありますよね。

保険に入っていれば、保険会社が支払ってくれますが、保険ではどうにもならない損害賠償もあります。

もし損害賠償を支払えない場合には、自己破産を考える人もいるかと思います。

ただ自己破産は借金をチャラにできるということは知っている人は多いと思います。

でも、損害賠償まで自己破産でチャラにできるのでしょうか?

 

結論を言いますと自己破産をすることで、損害賠償をチャラにすることができます。

損害賠償金についてもある種の債権なので、免責の対象になっています。

ただすべての損害賠償金が免責の対象になっているわけではありません。

2.不法行為による損害賠償は自己破産の免責対象外になることも

自己破産をするとき、すべての借金がチャラになると思っている人も多いですが、実は自己破産をしてもチャラにならないものもあります。

そのことを非免責債権と言います。

破産法第253条によると、非免責債権はこのようになっています。

第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)

つまり

  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

については免責の対象外となっているわけです。

・悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

仮に不法行為の損害賠償であっても、悪意で加えたことでなければ、免責の対象となっています。

ここでポイントとなるのが、悪意で加えた不法行為に当てはまるかどうかということです。

悪意で加えたというのは、他人に損害を与えようと思って意図的に行った行為のことを指します。

例えば、横領した場合の損害賠償については悪意で加えた不法行為になるので、自己破産の免責の対象外になります。

横領するときには「お金を盗んでやろう」という悪意があります。

計画的な犯罪は悪意で加えた不法行為に当てはまる可能性が高いです。

・故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

故意又は重大な過失でなければ、仮に人に危害を与えた場合の損害賠償であっても自己破産の免責の対象になります。

ここでのポイントは、故意または重過失に当てはまるかどうかということです。

単なる不注意で相手を傷つけてしまった場合であれば、故意や重過失には当てはまりません。

しかし、DVで夫が妻に暴力を振るって離婚をした場合、暴力を振るって害を与える意図があるので、免責の対象外となります。

意図的に相手を傷つけたという場合の損害賠償については自己破産しても免責の対象外となります。

 

ただどのケースが自己破産で免責の対象になるのかというのは、裁判所の判断で決まります。

結構細かい問題なので、あなたのケースでどうなるかは弁護士に聞いてみるのが一番だと思います。

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3.交通事故による損害賠償は自己破産で免責される?

自動車事故だけでなく自転車事故による損害賠償もありますが、自己破産で免責されるのでしょうか?

交通事故の場合は、

故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

が大きく関わってきます。

特に人身事故かどうか、重大な過失に当てはまるかどうかがポイントになります。

 

交通事故でも物損事故の場合の損害賠償は免責の対象となっています。

「人の生命または身体を害する」ことが自己破産の免責の対象外になる理由となっています。

物損事故であれば人の生命や身体を害していないので、自己破産の免責の対象となります。

 

人身事故の損害賠償の場合、重大な過失に当てはまる交通事故による損害賠償は自己破産の免責の対象外となります。

重大な過失に当てはまる交通事故とは「危険運転致死傷罪」に当てはまるような場合です。

危険運転致死傷罪に当てはまるのは

  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • 飲酒運転
  • ひき逃げ
  • 時速30km以上のスピード違反

などの場合が当てはまります。

逆に言えば、わき見運転による交通事故であれば、ちょっとした不注意で重大な過失には当てはまりません。

そのため自己破産をすれば、損害賠償は免責される可能性もあります。

 

ただ実際のところ交通事故の場合どこまで過失があるかは個別の事例によって変わります。

自己破産で免責の対象となるかどうかについては、弁護士に聞くことをお勧めします。

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・交通事故を起こした場合の罰金は自己破産しても支払う必要はある

交通事故を起こしたときには損害賠償だけでなく、罰金が科せられることもあります。

罰金については、自己破産しても支払いが免除されません。

破産法第253条によると非免責債権はこのように書かれています。

第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
七 罰金等の請求権

つまり、罰金は免責の対象外となっています。

罰金を支払わない場合には、強制執行による差し押さえが実行されます。

これは自己破産の手続きを行っても止めることができないので、交通事故を起こした場合には罰金を優先して支払うようにしましょう。

4.民事事件の損害賠償は自己破産で免責される?

  • 民事事件だから損害賠償は免責される
  • 刑事事件だから損害賠償は免責されない

といったような決まりはありません。

あくまで自己破産で免責されるかどうかについては

  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

がポイントになります。

 

例えば、夫が浮気をして離婚した場合、慰謝料請求(損害賠償)をすると思います。

この場合、夫は妻に損害を与えようとしたわけでもなく、身体を害することもしていないので、免責の対象になります。

しかし、夫が妻に対してDVをした場合には、身体を害しているので、免責の対象外となります。

 

民事の損害賠償が自己破産で免責されるかどうかについては、個別の事例によって変わります。

なので、損害賠償金を自己破産で免除されるかどうかについては、一度弁護士に相談することをお勧めします。

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